風太郎の日記

日々感じたことや、出来事などを書いていきます。

「汚れた魂」 昔書いた小説 ③

3 きっかけ

 朝目覚めると麗子も起きてきた。
「おはよう。」
「おはよう。」
 二人は爽やかに挨拶を交わした。
「沙央里起きないねぇ。」
「うん。よく寝てるよな。」
「朝食買いに行かない?」
「いこっか。」
僕は麗子の提案に同意した。
 ブラブラとコンビニまで歩いていく。昨日のノリはどこへ行ったのか、僕は静かに歩いていく。パンや飲み物を買って帰る途中、
「ちょっと座って話さない?」
と僕は麗子を見ながら言った。
「うん、いいよ。」
「彼氏は今どこにいるの?」
「今福島の親戚の家で何ヶ月か働いてるの。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「でも、やっとってカンジ。全然働いてくれなくて。」
「そっか。」
「でも、こっちに戻って来たらちゃんと働いてくれるって約束しているから……。」
 答えた彼女の笑顔が、なんだか淋しそうに見えた。
「あのさ、電話番号交換しない?って言ってもオレ、ベルしか持ってないけど。」
 その当時では携帯電話なんて、極道の人や会社の社長位しか持っていなかった。けれど麗子は持っていた。家の電話番号と携帯の番号を教えてもらい、僕はベルの番号を教えた。

 彼女の家に着くと、もうすでに沙央里は起きていた。
「もう!どこ行ってたの!?」
「これ。」
麗子がビニール袋を差し出し、
「朝食買ってきたの。」
「あ、そっかー。目が覚めたら二人ともいなくてビックリしたよ。」
「ゴメン、ゴメン。沙央里ぐっすり寝てたからさ。さあ、朝ごはんにしよう。」
麗子はテーブルの上に買ってきたサンドウィッチやジュースを並べた。
三人で軽い朝食を済ませると沙央理は、
「あたし学校だから、遅刻しても行かなくちゃ。単位ヤバいんだよね~。」
「圭佑も帰るでしょ?」
「うん。オレも帰るか。帰っても何もすることないんだけどね。」
僕は笑いながら答え、椅子からすっと立ち上がった。
昨日仕事をさぼった僕は、とても行く気にはなれなかった。
 玄関を出てマンションの前の歩道まで麗子は見送ってくれた。
「ありがとね。」
そう笑顔を見せ僕と沙央里は麗子の家を後にした。

「ねぇねぇ、どうだった?」
「ん?何が?」
「麗子あたしが言ってた通り、可愛かったでしょ。」
「ああ。まあね。」
僕はあえて素っ気なさを装い返事をした。

 これが僕達の目茶苦茶な青春の始まりとは知らずに……。