風太郎の日記

日々感じたことや、出来事などを書いていきます。

「汚れた魂」 小説

序章

「はい、これ八万円。」
沙央里は少しまとまった現金を僕に差し出した。十八歳の少女にしたらかなりな額だろう。
「ありがと。じゃ。」
そう言うと僕は一歩後ずさりをして駅へと向かおうとした。
「ちょっと待ってよ。もう帰るの?少し話そうよ。」
 僕は少しうつむき加減に、「ああ、いいよ。」と軽くあごを動かした。
 すぐ後ろにあるビルの二階の喫茶店に二人は入っていった。そこはカフェという造りではなく、中年のオヤジ達がコーヒーを飲みながら、あくせくする毎日の生活から抜け出すようにホッとくつろいでいる場所に見えた。僕は明らかに早く帰りたそうな素振りを見せた。
「そのリーマンがさぁ、アナルにバイブを入れられて悦んでるのぉ。」
 僕は沙央里の話を上の空に聞きながら自分の目の前にいる女とはまったく別の女の事を考えていた。