風太郎の日記

日々感じたことや、出来事などを書いていきます。

野草の力をいたただいて~若杉ばあちゃん 食養のおしえ~

1937年、大分県生まれの若杉友子さんの「野草の力をいただいて」という本を、知人に借りて読んだ。

食べ物、体、心。それらには「陰」と「陽」がある。

綾部で野草を採ったり、在来種の野菜を作ったりして食養を研究実践しながら、人々に教えている。

肉魚、卵牛乳、乳製品を摂らずに健康そのもので長生きしている。

放射能時代をどう生きるか、環境に対しての懸念。でも、もう駄目だとは思わずに食・体・思考までをも「陽性」にすることをレシピ付きの若杉ばあちゃんらしい語り口調で教えてくれる。

僕も最近猫の額ほどもない畑を借りたので、F1ではなく、在来種の種で自然農をやって行く。ただ、持ち主が言うには「ここは砂地だから、肥料はやらないとダメですね。」と言っていた。

「なんちゃって自然農」か(苦笑)

でもやらないよりはまし。安全で力のある野菜を育てようと思う。野草は結構離れた相模川まで行かないと無さそうだけれど……。

浜辺で「浜大根」を探してみるか。

 

「食」で壊した体は「食」で治す。

 

若杉ばあちゃんの教え。

治る前に「反応」というものが起きて、もっと具合が悪くなる時期があるという。僕の寝汗もそうだったのかもしれない。知人は「デトックスされているんですかねぇ。」と言っていたが、これが「反応」だったのだろう。

とにかくこの本はおすすめ。

もっと他の若杉友子さんの本も読んで行って、実践して健康になって行きたいとしみじみと感じさせてもらえた本でした。

 

 

野草の力をいただいて 若杉ばあちゃん食養のおしえ

野草の力をいただいて 若杉ばあちゃん食養のおしえ

  • 作者: 若杉友子
  • 出版社/メーカー: 五月書房
  • 発売日: 2011/06/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 2人 クリック: 13回
  • この商品を含むブログを見る
 

 

寝汗

昨日は寝汗を掻かずに寝られた。

ずっと続いていた尋常ではない寝汗が、何故か止まった。

医者は糖尿で掻いていると言っていたが、本当なのだろうか。

糖尿があるので、何度もトイレには起きたが寝汗で着替えなくて済んでよかった。

これで今日も掻かなければ万々歳である。

 

話は変わって、youtubeで「カメ五郎」さんのニコ動の動画が編集されてUPされていた。

この人は記憶が合っていれば、サバイバル系の雑誌に出ていた人だ。

虫とか食べてしまう。

この動画の中でも、クワガタの幼虫を食していた。

自分の普段の生活がどれほど甘いか思い知らされた。

幼虫は食べられるか分からないが、サバイバルのキャンプに挑戦したいと本気で思った。

キャンプは子供の頃からの憧れだ。テントなどを揃えて是非やってみたい。出来ればビデオを回して。

男のロマンである。

 

youtu.be

 

これで観られるであろうか。

女の人にはちょっとキツイ動画かも。

とにかくキャンプ。

今年の目標だ。

「汚れた魂」 小説最後

10 結末

 結局彼女は風俗の仕事を辞めていなかった。沙央里が電話で僕に教えてきた。

「いい加減にしろ!辞めてないだろ!」
僕はそう言いながら、ジーンズを留めていたベルトを抜くとソファーに座っていた麗子の足に振り下ろした。彼女は叫び声をあげて泣いた。
僕は動揺した。何て事をしてしまったのだろう。その場にしゃがみ込むと、僕も声を出して泣いた。悔し涙なのか、怒りの涙なのか。
「やればいい。その仕事を続ければいい。」

 これが僕に下った天罰だった。
自分のやった事はきちんと罰として帰ってきた。麗子の事だけではない。僕の心もしっかりと死んでしまった。生きていても死んでいる。心が無くなれば人間なんて生きるに値しない。こうして今、マンションの屋上に身を乗り出していても何も感じない。すでに自分で自分を殺してしまった。今更自殺もないだろう。
しかしここから身を投げ出せばあいつは自殺をしたと言われる。でも違う。僕はすでに死んでいるのだ。その苦しみに耐えられない。
「さようなら。」

 僕は身を投げた。

「汚れた魂」 小説⑨

9 腐っていく瞳

 その日麗子が帰って来るのを待った。僕は怒りとも言えない、ショックを伴った精神状態でいた。今はまだ九時。あと、三、四時間は帰っては来ない。胸が苦しい。いや、そんなありきたりの苦しさではなかった。すべてが裏切られた。何度も見たその雑誌は、すでに僕に開かせることは出来なくなっていた。
 ガチャガチャ。
ドアの鍵を開ける音がした。僕の胸はすさまじい速さで脈打つ。
「ただいま。」
ドアを開けて入って来た麗子が言った。
僕は雑誌を彼女の目の前に突き出した。麗子は一瞬びくっと体を縮まらせた。
「これなんだよ。」
そう言いながらしおりのはさまってるページを開いて見せた。彼女は自分の裸体に目を落とし、じっと黙っている。
「これお前だろ。」
しばらく沈黙した麗子は「うん。」と一言うなづいた。
 僕は麗子の左頬を引っ叩いてしまった。
「いつからだよ。」
声を荒げて聞いた。
「いつからだよ!」
「最近。」
麗子はうつむいたままそっと答えた。彼女の顔は死んでいた。
パシッ!もう一度左の頬を叩いてしまった。麗子は静かに僕を見上げると、
「まだ三回しかやってない……。」
そう消えそうな声でつぶやいた。僕は怒りを消そうとした。これが事実であってほしくなかった。けれど現実。麗子が言った「三回」という言葉だけが僕を救った。そう、無かった事にすればいいのだ。
「分かった。もう二度とやらないでくれ。」
僕の声には力がなかった。愛した子が風俗で働いていたことを知ったのだから無理もなかった。

 次の日の朝。僕は顔を洗い、彼女のローションをつけにドレッサーに向かった。ローションをつけ終わると、おもむろに鏡を見た。そこに映ってる目は死んでいた。そして次の日も次の日も、どんどん僕の顔から生気が失せていくのが分かった。

「汚れた魂」 小説⑧

8 突然の衝撃

 引っ越しの当日、僕は沙央里と会った。
以前から約束していた携帯電話を買ってもらうためだ。
ドコモのショップに二人で出向いた。
「これがいいんじゃない?」
沙央里は二つ折りにするタイプの携帯を指差したが、僕はどれでもよかった。
「じゃあ、それにするよ。」
ショップを後にしながら彼女は言った。
「これでいつでも圭佑さんと連絡が取れるね。」
屈託のない笑顔でそう言った。
僕は何も罪悪感を持たなかった。既に麗子と暮らし始めるというのに、他の女の子に高価な携帯電話を買ってもらう……。常識から考えたら出来ない行為だろう。けれど、沙央里は僕と付き合っていると麗子に言っているらしい。そして、他の男と僕を天秤にかけている事も。
僕が律儀になる理由はないと思った。付き合うとも言った事はないし、好きだとも言った事はない。お互い割り切った関係だと思っていた。その日、沙央里と食事をしながら結構な酒を飲み、酔って新しい生活の場へと向かった。
 家へ着いた僕に、麗子は何も言わなかった。まだ片付いていない部屋で二人はベッドへ入った。

 ある日の昼下がり、僕と麗子は映画を観たいねとどちらからともなく言い、映画館へ足を運んだ。
ちょうど、ジョニー・デップの「ドンファン」がやっていた。伝説のプレイボーイを描いた映画だった。
映画を観終わると、麗子は用事があると言い渋谷の映画館で別れた。
 バスに乗って家へ着くと、僕は冷蔵庫からコーラを出し飲み始めた。
そして今日観た映画のパンフレットをめくり読んでいた。
 その時、自分の携帯電話が無い事に気付いた。
(しまった。麗子のバッグに入れておいてもらったままだ。)
まだ持ち始めたばかりの自分の携帯の番号を覚えてはいなかった。仕方なしに、またパンフレットに目をやった。
 その日の夜麗子が帰って来た。
「お帰り。」
僕がそう言うと、麗子は笑顔を見せて
「ただいま。」
と言った。
「あのさ、携帯麗子のバッグに入れっぱなしだったでしょ。」
「うん。ずっと鳴ってて。出たら沙央里だった。」
「えっ。電話出たの。」
「何回も鳴らすから圭佑君かと思って。」
 僕は少し頭にきた。人の電話を勝手に出るとは。けれど、たいした事には思わなかった。
あの子は彼女ではない。僕は軽く聞いた。
「で、何だって。」
「うん……。何で麗子が圭佑君の携帯に出るの、って。それで、会って話がしたいって。」
「マジで。」
「仕方ないから、分かったって言った。」
僕は面倒くさい事になったなと思った。
「そっか。でも付き合ってる訳じゃないから。」
「でも、彼氏だって沙央里は言ってた……。」
 完全に思い違いをされている。けれど何度もこういう経験はあった。
仕方ない。麗子にちゃんと話をさせよう。

 翌日、麗子は沙央里と会いに行った。
その日の午後僕達が借りているマンションに麗子は戻ってきた。
 なんだか浮かない顔をしている。
「何だって、沙央里。」
「怒ってたけど、話したら分かってくれた。」
「なんだかめんどくさい女だな。他に男いるんだろ。」
「うん。私には、圭佑君にしようか、別な男にしようか迷ってるって話してたから……。」
「自分の事を棚に上げてそれかよ。」
「でも、これですっきりしたからいいじゃん。」
麗子は笑顔を作りながら僕に言った。

 しばらく何事もなく平穏に暮らしていた。そんな日の夕方、部屋のチャイムが鳴った。
「はい。」
「沙央里だけど。」
 僕は一瞬神経がピンと張った。何故沙央里がこの部屋を知っているんだ。この部屋を教えた覚えはない。怪訝な顔をしてドアを開けた。すると紗央里は、
「これ見て。」
と雑誌を僕に手渡してきた。ポカンとしたままで僕はその雑誌に目を落とした。
 それはよくコンビニなどで見かけた風俗の雑誌だった。そこに一枚の栞がはさまっている。そのページを開けてみた。するとそこには、裸で腹の出た親父と絡んでいる麗子が写っていた……。
 僕は一瞬気が遠のき、何度も何度もその数ページを見、体から力が抜けていくのが分かった。それは間違いなく麗子本人だった。
「わかった。」
僕はそうとだけ言い、ドアを閉めようとした。沙央里は
「じゃあね。」
と言うとドアに背を向け帰って行った。

「汚れた魂」 小説⑦

7 奔放な二人

その晩、二人で近くのラブホテルに泊まった。
若い二人に何も起こらないはずはなかった。お互いの愛情を確かめ合った後、これからどうするかという話になった。
「大丈夫。私が働くから。一日店に出れば日払いで何万円かになるよ。とりあえずはホテルに泊まって過ごすしかないよね。」
 次の日僕達は渋谷に行くことにした。
マクドナルドでハンバーガーを食べている時、ベルが鳴った。
彼女からだった。
僕は無視した。
ラブホテルの泊まりの時間になるまでどうしようかという事になったが、麗子がゲームセンターに行こうと言い出した。
モグラ叩きならぬワニ叩きを彼女ははしゃぎながらやっている。次は競馬のゲームだ。数千円分もコインを買って二人は色々な馬に賭けた。結構な量のコインを増やした。
ふと、
「これやろう。」
そう言った機械があった。
それは出たばかりのプリクラの機械だった。二人は続けて順番に撮った。なかなかよく撮れている。出てきたプリクラを彼女のバッグに入れた。
「そろそろホテルに入れる時間だね。」
僕達はそう言いながらラブホテルへと向かった。
麗子が仕事が終わってからホテルに入る日もあった。そんな時僕が彼女を抱こうとすると、
「抱きしめてくれるだけがいいの。」
そう言ってセックスを拒む事があった。
 それは、したくない日もあるだろう。僕はそう勝手に納得していた。
 そんな生活が何週間か過ぎたころ、僕はある事に気付いた。そうだ、ビジネスホテルに泊まれば夜遅くまで外に居なくても済むのではないか。さっそくビジネスホテルをタウンページで探してみた。何軒か電話して、安いビジネスホテルを見つけた。そのホテルは新宿にあった。一泊二人で一万二千円。
ラブホテルに延長しているよりははるかに安かった。けれど、一カ月で三十万円以上の部屋代……。どう考えても高い。麗子は週三、四日の仕事を五日に増やし、マンションを借りるお金を貯めた。
彼女は不動産が好きらしく、一人で時間のある時に部屋を探しにまわった。そこで渋谷にあるマンションを探してきた。
その部屋を見に行った時、窓からは教会が見えた。なんだかロマンティックな気分になったような気がした。

「汚れた魂」 小説⑥

6 行方は分からず

 僕は仕方が無いので、仕事が決まるまで実家に居させてもらう事にした。
 すぐ出て行くのが条件なら義理の父親も文句を言うまい。
 仕事はすぐに見つかった。
建設会社での仕事だ。彼女と寮に住んでもいいとの話だった。
僕はすぐに麗子に連絡を取り、仕事と住む場所を見つけた事を伝えた。
 嬉しさでちょっと飲みたい気分だった僕は、母親が飲みに行っているスナックに誘われると快く承諾した。
「お前ももう成人したんだから、きちんと落ち着くんだよ。」
「分かってるよ。」
半分自信。半分は嬉しさ。きっとそんな顔で答えたのだろうと思う。
飲み始めて二時間くらい経っただろうか、僕のベルが鳴った。見ると麗子からだった。
 すぐ近くの公衆電話まで行き、麗子の携帯に電話を掛けた。
「もしもし。」
「あ、圭佑君。」
「どうしたの。」
さっき話したばかりなのにまた連絡してくるなんておかしいと思った。
「やっぱり一緒に住めない……。」
僕は無言になった。
「やっぱり彼とは別れられないの。」
「そっか。仕方ないね……。」
 あっさりしていた。元々女の人なんて信じていなかった。
 母親が家を出て行ってから、きっと僕は女性なんてものを信じて生きてこなかったのだろう。
それは麗子に対しても例外ではなかった。
「分かったよ。それじゃ。」
「ごめんね……。」
プー。プー。プー。
あっけなく終わった。たった数日の恋だった。
店へ戻ると僕は焼酎をストレートで一気飲みした……。 

 

 ふと我に返った。
沙央里と二人で入った喫茶店の中。
沙央里から受け取ったお金をポケットに僕は、
「もう帰るよ。」
そう言い残して気だるく立ち去った。
結局仕事はしなかった。紗央里はただの金づるだった。女子高生からお金を貰っても何とも思わない。いや、逆にそういう自分に酔っていた。


 一カ月ほど経ったある日の昼下がり、ふと僕のベルが鳴った。
 その時僕にはもうすでに彼女がいた。その彼女からだろうとベルのディスプレイに目をやるとなんと麗子からだった。
 すでに実家に一カ月も世話になっている。でも、僕はお構いなしに家の電話を使った。
(トゥルルルルルル…。)
「もしもし。」
久しぶりに聞く可愛らしい声だ。でも心なしか暗く感じた。
「久しぶり。」
僕は努めて明るく言った。
「元気にしてた。」
そう彼女は僕に聞いてきた。
「元気だよ。麗子はどうだった。」
「うん……、ちょっと色々あってね……。」
「どうしたの。」
「彼に凄い殴られて……。」
「マジで?!」
「うん……。」
「大丈夫?今から行くから!」
「駄目だよ、彼、圭佑君との事で凄く怒ってるから。」
「ばれたの。」
そう僕は麗子に聞いた。
「ばれたっていうか。言ったの。」
僕は早く麗子を連れ出さないといけないと思った。

 友達に車を借りに行った。
「悪い。今日中には返すから。」
「いいよ、それより大丈夫かよ。」
「ああ、何とか連れ出してくる。」
僕はそう言い、友達の白いスープラに乗り込んだ。
産業道路から首都高速に上がり、麗子たちのいる原宿を目指した。道は途中までスムースに車を走らせた。けれど浜崎橋のジャンクションで、案の定渋滞していた。
僕はイライラし出す。
けれど、こればかりは仕方がない。諦めて車が流れ出すのをただ待った。やっと渋滞を抜け渋谷の出口を降りた。
 マンションの前に着くと急いでエレベーターに駆け込んだ。こんな時はエレベーターの動きも遅く感じて焦らせる。ドアが開くなり飛び降りた。
「ピンポーン。」
ドアチャイムを鳴らした。けれど全く返事がなかった。
「ドンドンドン。」
今度はドアを叩いた。しかしまた静まり返っている。
いないのか。そう考えたけれど、いないはずはないと思った。
「麗子!いないのか!?」
僕はドアを叩きながら叫んだ。しかし何の返答もない。頭にきた僕は、足でドアを蹴り始めた。
「ドン!ドンドン!」
5分ほど経っただろうか。やっと麗子が顔を出した。
「ちょっと。」
僕は麗子に促されてマンションの外へと出て行った。
「本当に怖いから。」
「関係ないよ!それより殴られたって、大丈夫なの!?」
「うん。それより早く帰って……。」
「俺が言ってやるから部屋にあがらせて。」
僕は興奮状態でそう麗子に言った。
「駄目だよ。今日は帰って。」
仕方がないと思った。相手は恋人同士。他人がそこまで言えない。
「じゃあ、必ず連絡してね。」
「分かった。連絡する。」
二人は約束を交わし僕は車に乗った。バックミラーに部屋着で立っている麗子を見た。とても小さい彼女が心配で仕方がなかった。

 次の日の夕方。黄昏にせまる夕陽を実家の庭先でビールを片手に眺めていた。ふとポケットベルが鳴った。麗子からだった。あの後大丈夫だったのだろうか。そう思いながら電話を掛けた。
「もしもし。」
「あ、もしもし。」
麗子の声だ。
「大丈夫だった?」
「うん。ごめんね。」
「それより、もうあの部屋は出た方がいい。」
僕はきっぱりと言った。
「私もそう思うの。」
なんだか意外な答えだった。彼とは別れられないと言っていたのに。
「これから会える。」
僕はとっさに聞いた。
「うん。夜なら……。じゃあ、私川崎まで行く。」
珍しく麗子が僕の住んでる所まで来てくれるらしい。「改札の前に時計台があるからそこに六時でいい?」
「わかった。」

僕達は静かに電話を切った。

僕は六時五分前に改札口の前にある時計台に着いた。周りは沢山の人達が誰かを待っているようだ。年配の人間は丸椅子に座っている。中にはホームレスらしき人もいる。居場所が無いのだろう。ざわざわとした場所に立ち改札の出口を麗子を探して見ていた。
一際目立ったオーラを放った女の子が出口を出ようとしているのに目が行った。麗子だ。
僕は右手を軽く上へあげた。
麗子も手を振っている。
「こんばんは。」
彼女は笑顔を作った。愁いを帯びた笑顔だった。僕は胸が苦しくなった。こんなか細い少女が、精一杯の笑顔を作っている。けれど瞳は泣いていた。
「圭佑君、元気。」
僕が黙っていたので麗子は心配したのだろう。
「ああ、元気だよ。」
僕も決して上手ではない笑顔で答えた。
「とりあえず飲みに行く?」
「そうだね。居酒屋でも入ろうか。」
僕はそう言いながら東口へと歩き出した。何を話していいか分からなかった。麗子の右側を半歩下がりながら映画街のビルにある居酒屋まで連れて行った。
席に通された二人は、とりあえずお疲れ様と言いお酒を口に運んだ。
「オレ、彼とは別れた方がいいと思う。」
「うん……。」
「でも、どうして急にオレと会う気になったの。」
「忘れようとしたけれど、忘れられなくて。」
「そっか。」
ちょっと嬉しさが込み上げて来るのが分かった。付き合っている彼女はいるけれど、やっぱり麗子の事が好きだった。この気持ちはどうしようもできない。二人が二、三杯お酒を飲んだあたりで僕はふと言葉を漏らした。
「もう、あのマンションには帰らないでほしい……。」
「わかった。」
これでやっと麗子といられる。ただそれだけで良かった。先の事など何も考えていない。いいんだ。これでいいんだ…